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  • Special Contents3~大学生のためのFinTech講座

金融を大きく変える可能性を秘めた
“FinTech”とは?

K.ISA

最近、さまざまなメディアで“FinTech(フィンテック)”という言葉をよく耳にします。FinTechとはいったい何なのでしょうか?

N.HANARI

金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、IT(情報技術)を使った新しい金融サービスのことです。金融とITは、それぞれ「お金」と「情報」を扱っています。すでに電子マネーが普及しているように、「お金」というのはそもそも実体がなく、その価値というのはいわば「情報」のようなもの。ですから金融とITは非常に親和性が高く、この2つを組み合わせることで、革新的な金融の仕組みを生み出せる可能性が大いにあるのです。昨今、IT企業やベンチャー企業などがこのFinTechの領域に積極的に参入しており、高い利便性や大幅なコスト削減を実現する金融サービスの開発競争が進んでいます。 FinTechへの投資の将来予測は、東京五輪が開かれる2020年に全世界で4兆円を超える試算があります。これは2015年実績の2倍近く。投資額が5年で2倍になるような成長市場は、他にはあまりありません。そのためFinTechは「21世紀前半最大のフロンティア(未開拓地)」と言われています。

K.ISA

FinTechがこうして急速に盛り上がってきたのは、どのような背景があるのでしょう?

N.HANARI

やはりテクノロジーの進歩が大きいですね。コンピュータのハードウェアやネットワークの処理能力が近年劇的に進化しており、結果、システムの開発・運用コストが劇的に低下しました。そうした背景により、ベンチャー企業のFinTech領域への参入がこれまで以上に容易になったのです。さらに、スマートフォンの普及もFinTechを後押ししています。いわば誰もがネットワークとつながる高性能な情報端末を持っているわけですから、このスマートフォンを通して多くの人にさまざまなITサービスを提供できる環境も整いました。

K.ISA

現状、FinTechの領域でどのようなサービスが生まれているのでしょうか?

N.HANARI

スマートフォンを通じて簡単に送金や決済ができたり、コンピュータが最適な資産運用をアドバイスしてくれたり、あるいは企業がインターネットを使って容易に資金調達できたりするなど、今までにないサービスが続々と開発されています。

K.ISA

FinTechの登場で、これから金融業界にも変化はありますか?

N.HANARI

お話しした通り、FinTechの担い手となっているのは、既存の金融業界の外にいるIT企業やベンチャー企業です。今後は金融業界と他業界との垣根が低くなり、銀行などの金融機関はこれからまったく違う業界の企業と競合したり、協業したりすることが当たり前になっていくでしょう。ちなみに、日本政府もFinTechを今後の国内経済の発展に貢献する重要なテーマとして掲げています。銀行法の改正によって規制が緩和され、これまで健全性維持の観点から銀行には許されていなかったFinTech企業の買収も可能になりました。これからますます、金融機関とFinTech企業の距離が縮まっていくと考えられます。

FinTechのコアテクノロジーと、
それがもたらす未来とは?

K.ISA

FinTechにはいろいろな技術要素がありますが、特に注目されているのはどんなテクノロジーですか?

N.HANARI

さまざまなテクノロジーが関連していますが、特に注目度が高いのは「AI(人工知能)」と「ブロックチェーン技術」の2つといえるのではないでしょうか。

K.ISA

AIといえば、先日、Google が開発した囲碁の人工知能“AlphaGo(アルファ碁)”が世界トップ級のプロ棋士に勝利を収めて、大きな話題になりました。

N.HANARI

そうですね。クルマの自動運転技術などもそうですが、AIはあらゆる産業分野で最も注目を集めている技術のひとつです。AIとは簡単に言えば、コンピュータが人間の脳のような働きをして自律的に物事を判断していく技術です。もともと金融の世界は大量のデータがすでに蓄積されている分野であり、それをAIによって分析することで新しい知見を生み出し、金融サービスに活かしていこうとしています。ブロックチェーン技術は、仮想通貨であるビットコインの基盤となっている技術として有名です。少し専門的になるのですが、ブロックチェーン技術は分散型のコンピュータネットワークであり、ネットワーク上で行われるすべての取引履歴を不特定多数のコンピュータで分散管理することで、システムの信頼性を担保するという仕組みになっています。履歴の改ざんが極めて困難であり、仮想通貨を流通させる新たな取引インフラとして期待されています。

K.ISA

AIやブロックチェーン技術によって、どのような金融サービスが実現されるのでしょうか。

N.HANARI

AIを活用すれば、作業効率や精度が大幅に向上します。たとえば、クレジットカードの不正利用者の行動パターンを分析することで、不正な取引をAIが即座に検知することも可能になります。また融資業務においても、AIが過去の取引情報などのビッグデータを分析することで与信を判断し、スピーディーな融資ができるなどお客さまへのサービス向上につながります。さらに資産運用業務においても、家計の状況や個人の嗜好、将来予測などから最適な運用方法を提案するロボアドバイザーなども一般的になるでしょう。一方、ブロックチェーン技術がもたらす大きなインパクトは、金融機関に依存しない送金や決済ができるということにあります。ブロックチェーンで構築された取引システムで仮想通貨を利用すれば、数円単位でも送金や決済が可能になり、今後、新しいビジネスモデルが生まれるはずです。

K.ISA

まさにこれまでの金融の常識を覆すようなサービスが生まれるのですね。

FinTech時代において、
日本総研が果たすべき役割とは?

K.ISA

先ほどのお話でいうと、既存の金融機関はこれからFinTechベンチャーを「競合先」ではなく「協業パートナー」として関係を深めていくことになるのですね。

N.HANARI

これまで金融機関は、自社で活用するITシステムの大半を自分たちで開発するという「自前主義」の傾向が強かった。というのも、システムの「安定性」や「堅牢性」を担保する上では自社開発する方が確実であったからです。しかし変化の激しい現在のビジネス環境において求められるのは「スピード」と「独創性」であり、もはや自社が提供するべき金融ITサービスをすべて自社開発することは困難になりつつあります。そうした中で、自社と外部の企業が技術やノウハウを持ち寄り、独創的なFinTechをスピーディーに開発していこうという「オープンイノベーション」という意識が高まってきています。特に近年では大手金融機関がベンチャーとの連携を急速に強めており、オープンイノベーションはますます加速していくものと見込まれます。そのため、まだまだ進化の途上にあるFinTechをいかに巧みに活用して、優れたアイデアや技術を自社のビジネスに組み入れていくかが、これからの金融機関を大きく左右するように思います。

K.ISA

そうした中で、これからSMFGのIT中核企業として日本総研に求められることとは何でしょうか?

N.HANARI

FinTechを含めた技術の目利きとして、グループ企業各社と情報共有を行い、各社が目指すべきビジネスの姿を実現するために必要な知見やリソースを提供することが求められます。そのためには、日本総研が自らオープンイノベーターとしてFinTechベンチャーとの連携を強めていくことも重要です。

K.ISA

FinTech時代において、日本総研はどのように強みを発揮していくべきでしょうか?

N.HANARI

金融業界は、さまざまな法律や規制のもとでビジネスを展開しています。そのため金融ITの開発には、複雑な法律や規制を理解し、対峙する高度なノウハウが必要不可欠です。事実、FinTechベンチャー企業自身も、国ごとに異なる法律や規制にどう対峙していくかといったノウハウはまだまだ不足しています。そうした中で「金融×IT」を究めてきた日本総研は、金融ITのプロとして、有力なベンチャーと協業していくことでFinTech時代においても大きな存在感とリーダーシップを発揮できると考えています。

K.ISA

日本総研がすでに実現しているFinTechの事例はありますか?

N.HANARI

2017年7月を目処に、三井住友銀行の個人向けの残高照会や入出力明細等の照会サービスを対象としたAPIの提携をスタートします。APIとは、Application Programming Interfaceの略で、あるアプリケーションの機能や管理するデータなどを他のアプリケーションから呼び出して利用するための接続仕様等のことを指します。

K.ISA

APIの提携によって、具体的にどんなことが実現するのでしょうか?

N.HANARI

たとえば、お客さまが提携先企業に三井住友銀行の契約者番号やパスワードを開示することなく提携先企業のサービスが利用可能となり、セキュリティレベルが向上します。APIの活用により、提携先企業と三井住友銀行が協働して、それぞれが保有する情報やサービスを組み合わせることで、お客さまに多様なサービスを提供できるようになるでしょう。また将来的には、三井住友銀行の振込・振替サービス等のAPI提供や、SMFG各社のサービスとのAPI連携についても検討を進めています。また、法人向けAPI接続サービスは2017年春頃を目途にサービスの提供を開始します。株式会社マネーフォワードとの連携を皮切りに、株式会社オービックビジネスコンサルタント、株式会社インフォマート等のFinTech企業等との連携を順次進めているところです。

(参考)提携先企業を通じたAPIのイメージ

K.ISA

FinTech関連技術やサービスをオープンに取り入れながら、さまざまな商品・サービスが生まれていきそうですね。今から楽しみにしています。今日はありがとうございました。