People 1
手探りでもがきながらも
 歩んでいく。自分の
  キャリアは自ら掴み取る。
ITソリューション
M.Muranaka
ヘルメットをかぶってビルの中へ
システムって、何だ?誰のためにある?
三井住友カードが発行するクレジットカード。その裏面に記載された電話番号を回すと、コールセンターにつながる。16ケタの会員番号を伝えると、オペレーターはすぐに自分の詳細情報を照会し、会話が始まる。今では当たり前になったこのシステムは、電話とPCの信号変換制御を行うプログラムで成り立っている。このシステムを新しく開発することが、入社当初の私のミッションだった。入社3年目。三井住友カードで新しくコールセンター専用のビルを建設することになった。同センターのITプラットフォームを統括する日本総研のメンバーは、リーダーの先輩と、サブリーダーの私の二人きり。上司は「任せた」と言い放ち、私はいきなりビルの現場に立たされた。話す相手は、百戦錬磨の現場監督たち。「君、電源が何ワット必要か知らないでサーバの設計してるの?」。半ば呆れられながら、ファシリティのイロハを習う。その傍らでは三井住友カードの担当者たちと、コールセンターの内部構造について話し合いを重ねた。たとえば、オペレーターの座席をどう配置すればよいのか。「チームで円形に座ってもらって、オペレーター同士、お互いの顔が見えるようにしようと思う。相手の姿を見れば、お互いに仕事の様子を見て刺激し合えるだろう。どう思う?村中さん」。コールセンターは、三井住友カードにとって重要な戦略拠点。担当者たちは細部にまで神経を行き渡らせ、戦略を練りに練ってこのビル建設に臨んでいる。正直言って、これまでは「コールセンターの設計は三井住友カードの仕事、ITプラットフォームの構築が私の仕事。」と割り切っていた。だから、自分が作った環境がどのようにオペレーターに利用されるのか、真剣に考えようとしたことがなかった。でも、目の前で三井住友カードの担当者たちが熱く語っているカードビジネスの将来像を実現できなければ、いくら素晴らしい環境を提供できても意味がない。それからは三井住友カードの担当者と膝を突き合わせ、このビルのあり方を一つひとつ考えていった。最終的には、当時では画期的なオペレーション専用ビルができ上がった。先輩と担当者、ビルの現場監督。会社という枠を越えて、関係者全員で喜びを分かち合った仕事だった。
突然のリーダー任命、
手探りの中から得た自分流
事件は入社5年目に起こった。それまでプロジェクト内で活躍していた先輩たちが、当時急浮上した別の案件にごっそり異動、上司に「なんとかよろしく頼むわ」と空席のチームリーダーを一任されたのだ。当時の私はチーム内にたくさんいたサブリーダーの一人に過ぎなかった。最若手のチームリーダー。周囲から見れば大抜擢なのだろうが、気が重かった。しかし、「お前にしかこの状況を任せられる奴はおらんのや」という上司の言葉に、「分かりました。引き受けましょう」。こういう時に断ることのできない、無駄に責任感の強い自分の性格を呪った。チームリーダーの仕事は慣れないことばかりだった。見積りの仕方、値決めのルール、プロジェクト管理の仕方、メンバーなどのヒューマンマネジメントなどなど。上司に教えを請おうと思っても、忙しく飛び回っていて取り付く島もなかった。仕方がないので、自分で調べたり、隣のチームリーダーのやり方を盗んでみたりした。どうしても分からない時は、「教えてください」と社内を頼み込んで回った。「それは自分の上司に聞けよ」。ぶつぶつ文句を言われたが、とにかく何とかしなければならないと真剣だった私に、皆は手を差し伸べてくれた。このようにチームリーダーとしてのキャリアは、まさしく手探りで、自己流の方法で積み上げていった。
「だから周りがついてこない」
マネジメントという仕事を学ぶ日々
そうこうしているうちに、若くして「次長」という多くの部下を束ねる立場になっていた。振り返ってみると、自己流で積み上げたキャリアゆえに、上司や先輩から事細かに仕事を教えてもらったという経験がほとんどない。私にとって仕事とは、開発であってもマネジメントであっても自ら学び取るものであった。そのせいか、私自身も部下に手取り足取り細かく指導するようなことは決してしない。自ら掴み取りに来い。そういう姿勢で臨んでいた。そのうち周囲からは厳しい上司と目されるようになっていった。
そんなある日、外部の研修で、自身のマネジメントに対する考えを話したところ、受講者の一人にずばりと切り込まれた。「あなたがすごく優秀だというのは分かりますが、それでは周りの者がついてこないのでは?」。自分の頭の中で何かが崩れていくような感覚だった。私はプレーヤーとしてバリバリ仕事をこなしてきた自信はあったのだが、マネージャーとして、部下のモチベーションマネジメントが全くできていなかったのだ。単に仕事をこなすことだけが目的じゃない。仕事を通じたやりがいや達成感をメンバーに醸成することも仕事なんだ。この機会をきっかけに、私は組織のマネジメント方法をがらりと変えた。戸惑う部下もいたようだが、私が必死で変えていこうとする姿に共感してくれているようだ。今度はマネジメントという仕事を手探りで会得していこうとしている自分がここにいる。
Profile
入社
1999年
専攻
大学院情報知能工学科
趣味
サッカー、スポーツ観戦
日本総研でのキャリア
入社以来一貫して三井住友カードのコールセンターシステム開発を担当。
2002年サブリーダー、2003年チームリーダー、2008年より次長。