People 2
自分以外に誰がやる?
 ピンチで痛感した
 「人と人のつながり」の大切さ。
ITソリューション
H.Takeda
社会に直接的な影響を及ぼす
そんな重要な仕事を任される存在になる
リーマンショックが世界を震撼させた2008年の秋。為替ディーラーが使用するシステムにおいて、大きな課題が持ち上がっていました。リーマンショックの影響で想定以上の為替取引が発生し、このまま右肩上がりに取引が拡大すれば、システムが許容する処理能力を大きく上回ってしまう恐れがあったのです。東京、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、香港、バンコクなど世界各国の拠点を結ぶこのシステムは、24時間365日眠りません。万が一、処理能力を超えてシステムが停止するようなことになれば、世界経済に大きな影響をもたらすことになってしまう。そこで、システムの性能を向上させるための改善プロジェクトが急遽立ち上がり、当時入社2年目の私もプロジェクトに投入されました。日々、神経が張り詰めるような緊張感の中で仕事をすることになったのですが、世界経済の大きな潮流と完全に同期しているこの仕事の責任の大きさ、醍醐味を入社早々から存分に味わわされました。この仕事での経験が、私の職業観に大きく影響するようになったと思います。
新人の頃から、上司は「何でもやってみろ」と、チャンスを与えてくれました。嬉しい反面、金融知識もシステムの知識も中途半端な自分には、いつも先輩に助けてもらう消化不良の毎日が続いていました。「自分の存在価値を示すために、何か得意分野を身につけなきゃ」。金融業務の知識を徹底的に身につけようと、金融工学の勉強会を主宰し、担当する業務の背景や基礎知識などを徹底的に学びました。また、打ち合わせへの先輩の同行を断り、何が何でも自分がレスポンスを返さないと物事が進まない状況に自分を追い込んだりもしました。とにかく「あいつに任せて大丈夫か?」と周囲から思われるのは絶対に嫌だったんです。この一心で私はがむしゃらに頑張りました。「武田さんならどんな仕事も責任持ってやり遂げてくれる」という周囲からの信頼を勝ち取るために。そして、責任の大きな仕事を通して世の中に影響を与えられる人になるために。
「君がそう言うならやるしかない」
どん底で手にした最高の贈り物
入社3年目、為替ディーリングシステムに関わるチームのリーダーを任されました。当初は先輩とのタッグを組んでプロジェクトを担当していましたが、その先輩が他のプロジェクトに召集されることになり、私一人で推進しなくてはならなくなったのです。「彼女一人で大丈夫か?」そんな周囲の雰囲気をかき消そうと、とにかくがむしゃらに頑張りました。手を尽くしてプロジェクトを前に進めていきましたが、ようやくカットオ-バーまであと2カ月という段になって緊急事態が発生。システムに不具合が見つかりテストに入ることができないという状況に。新機能の追加でシステム構成が極めて複雑になったことに加え、大規模案件であるがゆえに複数のパートナー会社で開発を分担して進めており、互いのコミュニケーションに微妙なズレが生じたためでした。胃がキリキリと痛むような切迫した状況の中、上司に状況を報告したところ「君の判断で、やれるところまでやってみな」。この一言で私の覚悟は決まりました。何か問題が発生したらその状況を主導して解決に導くのがプロ。私はプロジェクト全体の先導役を自ら志願し、組織を横断的に調整する役割を担って事態の収拾にあたることになりました。そんな私を強力にバックアップしてくれたのは、日頃から共に仕事をしている三井住友銀行のメンバーやパートナー企業のSEの方たち。ほとんどが私よりも年上のベテランばかり。入社4年目の自分が「なんとかしてこういう手順で挽回したいんです。お願いします」と訴えると、「わかった。君がそう言うなら、やるしかないでしょ」と全員が付いて来てくれました。その言葉が、涙が出るほど嬉しかったのを忘れもしません。それは自分が今まで地道に培ってきた努力が形になるのを体感した瞬間だったからです。
満を持してシンガポールへ
真価が試される時が来た
2013年12月より、私はシンガポールに赴任します。物心ついた時から心の中にあった「もっと広い世界が見たい」という思いを、ついに叶えることができるのです。海外で働くことを目標に、大学では英語を学び、就職活動でも海外で働けることを軸の一つにしていました。海外経験を自分のキャリアに加えることは、社会人としての価値を高めることにつながると考えていたからです。入社以来、上司との定期的な面談では「海外に行きたい」という希望を常に伝えていました。しかし、上司の反応はいつも決まっていました。「海外で何がやりたいのか。君なりの明確なビジョンはあるのか」。当時の私はそれを明確に答えることができませんでした。私はその言葉をいつも頭の片隅におきながら、「なぜ海外で仕事がしたいのか」という問いに向き合いました。
そしてある時、ふと気が付いたのです。単純に海外に行けば何かが変わると思っていたこと、「海外で仕事をすること」だけでは自分の価値は何も変わらないということを。国内であろうとも海外であろうとも、自分自身の存在価値は自ら見いださなければならない。国内において実現できないものを海外に行ったからといってできるようになる訳がないのだと。それからは、置かれた環境においてどうすれば自分の存在価値を一層高められるかと考えながら、目の前の仕事に一生懸命になりました。そうすればきっと自分の「海外に行きたい」という想いの本質が分かるような気がしたのです。
そんなある日、上司に呼ばれて突然、シンガポール行きを告げられました。「今の君には、海外で何をしたら良いのか、誰に言われるまでもなく分かっているだろう」。いつも冷静な上司らしく、淡々とした口調でまるで普段の何気ない会話のように伝えられました。そして一言、「君の『想い』を思いっきりぶつけてきなさい」。とにかく嬉しかった。ただただ嬉しかったとしか言いようがありませんでした。赴任先では、シンガポールをベースに香港、台湾、タイ、ベトナム、シドニーなど、SMFGのアジア・豪州の各拠点を飛び回ることになります。グループとして最も注力する戦略マーケットでもあり、非常に大きな責任を伴います。新しい環境で「任せられる人」になるためにも、相当な努力をしないといけないでしょう。日本で通用したものが海外で通用するかどうかは分かりませんが、これまで仕事を通じて得てきた経験は必ず活きるはずだと信じています。そこでまた苦しむことも多いとは思いますが、必ずや成長という宝物をつかみとって帰ってきたいと思っています。
Profile
入社
2008年
専攻
外国語学部
趣味
マラソン(ホノルルマラソン2回、東京マラソン1回完走)、
パワーヨガ
日本総研でのキャリア
入社~2013年まで市場システム開発を担当。2013年12月より
三井住友銀行に出向し、シンガポール支店で勤務予定。