People 4
窮地に追い詰められたとき、
 逃げないでいられるか。
  立ち向かって、戦えるか。
ITソリューション
Y.Toyohara
世の中に広く関わる
大きな仕事を手掛けたい
学生時代からメインバンクは三井住友銀行(SMBC)だ。大学でインターネットバンキング(SMBCダイレクト)を知り、就職活動中に日本総研のホームページで「SMBCダイレクト」と「Vpass」(三井住友カードのクレジットカードサイト)という二つのキーワードと出会って興味を持った。中でも、会員数1,000万人(当時)を超える「SMBCダイレクト」の企画・開発は「仕事を通して世の中に影響を与えたい」という自分の想いを実現するのにふさわしいフィールド。入社して2年間は税制変更に伴う機能改定を担当し、ITベンダーが開発したプログラムをテストする工程を任された。しかし、テスト工程の仕事をやればやるほど「プログラミングの工程についてもっと経験を積んでみたい」という欲が出て来た。そこで、社内の研修制度である「ITベンダートレーニー制度」への参加を志願した。
メンバーの離脱で窮地に立たされる。
「なぜ、自分だけこんな目に」
トレーニー先のITベンダーでアサインされたのは、銀行間のシステムを接続するための新機能の製造工程。希望どおり、プログラミング工程に携わり、『作る』ことの苦労を実体験した。特に完成直前の最終テストの段階の現場はまさに不夜城。トレーニーの立場ではあったものの、他のメンバーのフォローも行っており、気が付くと、自分がチームのメンバーを動かす存在になっていた。しかも、メンバーの1人が体調を崩し、チームを離脱するという事態も発生。タスクは急増。窮地に追い詰められた。 自分から望んで得たトレーニーとしてのこの仕事、このポジションなのに、いつの間にか心はすっかり萎えきっていた。夜、誰もいないオフィスで、誰にも聞かれたくない言葉を一人つぶやいた。「なぜ、自分だけがこんな目に合わなければならないんだろう?俺はトレーニーなのに!」無論、頭の中では自分の覚悟が甘かったのは分かっていた。この状況から逃げ出したい。今なら言い訳はできる。でも、それでよいのか?逃げればいつかきっと後悔する。成長の機会を放棄することになってしまう。そう思うと、この環境で最後まで戦ってやろうという気持ちがふつふつと湧いてきた。戦う相手は「仕事」でもなく、「置かれた環境」でもない。「自分自身」なのだ。 無我夢中で格闘していると、あっという間に新しい季節が巡り、トレーニー期間の終了日が近づいていた。しかし、自分が担当している部分が完成するまでは、離れるわけにはいかない。やり遂げさせてくれと願い出た。ここでやり遂げなければ、自分から逃げ出したことになる。これは自分との闘いなのだ。
金融の世界を変えた銀行と証券との連携。
800件に及ぶ課題を整理し、環境の違いを乗り越える
2009年の金融商品取引法改正により、「銀行業務」と「証券業務」の垣根が取り払われ、総合金融としてのワンストップサービスを目指すことができるようになった。トレーニーから戻ってきた私は、この「銀証連携」プロジェクトにアサインされた。2つの業務をITでつなぐのが日本総研の役割であるが、業務の特性が異なれば、システムのつくりもデータの種類も異なる。この難易度の高い課題を解決するためには、それぞれの想いを関係者と共有し、伝え、認め合い、チームの気持ちを一つにする必要がある。まさに、日本総研の手腕が試されるときであった。
大規模なプロジェクトでは多くの課題が交錯する。私がこのプロジェクトに入ったときも、一部、システム上の制約や前提条件が十分に考慮されないまま、プロジェクトが進んでいた。今からすべての関係者に状況を伝え、全体のスケジュールを大幅に組み直すのはあまりにもリスクが高かった。「どうやって解決するんですか!」。どの関係者の言葉にも、不安の色が滲み出ていた。本当は自分自身も不安で一杯だ。しかも、途中でアサインされたプロジェクトだから自分に非はない。「なんで俺がこんな目に」。トレーニー時代にひたすら頭の中をよぎったあの言葉。でも、その言葉はもう出てこなかった。逃げないで立ち向かうことを、私はすでに学んでいた。自分でも驚くほど、私の動きは早かった。すべての関係者に現状を認識してもらうための資料を作成し、そのうえで対応プランを話し合って回った。もちろん、簡単に合意形成が図れるわけではない。時には言い合いにもなった。それでも辛抱強く、会話を続ける。相手の理解に合わせて話し方を変える。相手に合わせて自分の話の「色」を変え、より相手に伝わるように内容を研ぎ澄ます。地道ではあるが、プロジェクトを前に進めるためには一番重要だ。「わかった。これを元にやるだけやろう」。関係者の気持ちが一つになって、その後の工程の業務に集中した結果、無事、スケジュールどおりにリリースすることができた。喜びと安堵感が交差するこの瞬間は、どんなプロジェクトでも変わらない。
今にして思えば、トレーニー時代に自分が逃げ出さなかったこと、その後のプロジェクトにおいても一つ一つのトラブルを真正面から受け止めて解決していったことは、間違いなく自分の血や肉となり、今の自分を作る上での土台になっている。きっとこれからも、同じような厳しい環境が自分の前に待ち受けているだろう。だが、どんなときでも逃げはしない。どんなに大きな問題が起きたとしても、ひるまずに向き合う。それこそが、自分の存在価値なのだ。目標は、あくまで「自分自身」なのだ。
Profile
入社
2008年
専攻
理工学研究科
趣味
愛車スズキの隼(1300cc)でのツーリング
日本総研でのキャリア
入社後「SMBCダイレクト」(インターネットバンキング)のプロジェクトに従事。
3年目に自ら志願し国内のITベンダーでトレーニーを経験。
トレーニー後は、銀行業務と証券業務の連携を実現させた「銀証連携」プロジェクトに参画。